一般財団法⼈かごしま島嶼ファンド
設⽴趣意書
温帯から亜熱帯に渡る、南北600キロに広がる⿅児島県下28の有⼈島には、およそ15万⼈が暮らしています。豊かな⾃然環境と地域固有の⽣活⽂化や島独特の集落コミュニティなど、多様な⽂化資本や社会関係資本に溢れています。⼀⽅で、右肩下がりと呼ばれる⼈⼝減少社会において、少⼦⾼齢化などをはじめとする社会課題も顕著です。海に囲まれた地理的な状況からも孤⽴しやすく、島嶼地域ならではの課題と常に隣り合わせ。将来の⽇本の縮図とも⾔われる島々は、まさしく課題先進地であり、⽇本の未来の鍵を握っています。
⽇本⼀島に暮らす⼈⼝が多い⿅児島県。島といっても、2⼈の島からおよそ6万⼈の島まで⼤⼩様々ですが、500⼈以下の⼩規模離島が多く、経済合理性を図りづらくなっています。徐々に地域経済も衰退の⼀途を辿り、現在では、学校や病院、役所などの公共施設といった、あらゆる⽣活基盤の維持も容易ではありません。地域の担い⼿も、ますます減少しており、地域社会の存続も困難です。そうした厳しい環境下において、新しいサービスが⽣まれにくい⼀⽅で「⼈と⼈が⽀え合う共助社会」は、島に⽣きることの原点でもあります。⼈が減りゆく時代において、よりよく⽣きようとする「たったひとりを⽀える」ための仕組みとそのネットワークが必要です。ここから 100 年以上、⼈⼝減少や⾼齢化は続きます。だからこそ、それらを課題として捉えるのではなく、未来への⼊り⼝と捉え直していく取り組みを⽀援することも、将来⼩さな島々のたすけとなっていくと考えています。さらに、あらゆる資源に限りがある隔絶性の⾼い地域にとって必要なものは、⼈と⼈の繋がり。私たちは、島に⽣きる、島と共に⽣きるたった⼀⼈を諦めない財団を⽬指して、従来の制度や⾃治体という枠組みにとらわれることなく、志ある⼈たちと共に島嶼間のパートナーシップを育て多くの挑戦の帆を掲げ続けます。
今後ますます⾏政や教育機関、⺠間企業、⾦融機関などの役割が変化していくなかで、多様な⼈々が協働していく可能性を⾒出して、ソーシャルインパクトを創出していくための「ビジョン」と「関わりしろ」が求められていくでしょう。当財団は、海に囲まれた島ならではの環境⽂化を礎に海域のエコシステムを構築し、島の中だけでなく、海の向こう側にも頼れる仲間をつくり、これからの島づくりを⽀えます。ひとりひとりが在りたい未来に向かって挑戦できる海域を⽬指して、特に若年層を対象とした地域振興を⽀援するほか、⾃然環境、⽂化・教育事業など、公益性が⾼く事業化しにくい離島が抱える課題にも取り組みます。私たちは、ここに⿅児島離島⽂化経済圏を形成し、持続的に島を発展させながら、島特有の⽂化と環境を守り育てることの重要性を過去から学び、よりよい未来のために新たな価値を⾒出し、共に考え続ける温度ある財団をこの海域に設⽴いたします。
令和6年12⽉1⽇
設⽴者 かごしま島嶼ファンド設⽴準備委員会